資料:11件
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詐害行為取消権
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~債権者取消権の法的性質について~
一 はじめに
債権者取消権の要件をみたした場合、いかなる効果が認められるか。
具体的には、①債権者は誰に何を請求しうるか、②債権者が取り戻せる財産はどの範囲か、③取消債権者は自らへ返還するよう請求できるか、という三点が問題となる。
二 債権者は誰に何を請求できるか(債権者取消権の法的性質)
詐害行為取消権を行使しようとする場合、債権者は具体的には誰を被告として何を請求できるのだろうか。特に、目的物が転得者のもとにある場合、受益者を相手に価格の賠償を求めることができるか、詐害行為取消権の法的性質に関連して問題となる。
どの考え方を採るかによって、この権利を誰に対して(誰を被告として)行使するか、いかなる請求をするか、取消権の効果をどのように解するか等の相違が出てくる。
三 学説の対立
1 取消権
詐害行為取消権は、債務者の行為(詐害行為)を取り消してこれを無効にすると考える説であり、ドイツの物権説及びわが国の形成権説がこれに当たる。
⑴ 物権説
この説は、取消しを一般の法律行為の取消しに関する民法142条のそれと同一の意義に解し、その法律的な性質は形成権であるという。取消しの結果、物権的効力を生ずるとするところから、物権説の名がある。ただし、取消権の行使は、一般の取消権の行使と同じく、裁判外の一方的意思表示によってもこれをなし得るとするから、その訴えは、形成の訴えとはならない。また、取消しの効果は、なん人に対しても無効を主張し得る絶対的なものではなく、債権者に対する関係でのみ無効であると解する。
⑵ 形成権説
形成権説によると、民法424条は「法律行為の取消し」といっているから、詐害行為取消権は、債務者の法律行為を取り消す権利であることは明らかである。この取消しは、無能力や意思表示の瑕疵などに基づく法律行為の取消しと同一の性質と効力を有するものといわなければならないという。ただし、この説は、取消権の行使は必ず訴え(形成訴訟)をもってしなければならず、取り消された法律行為は絶対的に無効であるとする点で物権説と異なる。
形成権説に対しては、この説は民法424条の「法律行為の取消しを裁判所に請求することができる」という文字に最もよく適合するが、この説によると、詐害行為を取り消した結果、受益者又は転得者は法律上原因なく債務者の財産を保有し、債務者に対して不当利得としてそれを返還する義務を負うこととなるのにとどまるから、債務者が自ら返還請求をしないときには、債権者は、これを債務者の財産として取り戻すため、さらに債権者代位権を行使して訴えを提起しなければならない不便があるばかりでなく、債務者の法律行為を絶対的に無効とするから、不当に取引の安全を阻害する、などの批判がある。
2 債権説
債権説は、詐害行為取消権をもって債務者の行為の効力を消滅させることなく、ただその行為によって減少した財産の返還を請求する権利であると解するものである。したがって、その訴えの形式は給付の訴えとなり、その効力は相対的であるとする。この返還請求権を発生させる前提として、債権者が受益者又は転得者に対して、特段の意思表示を要するか否かによって、純債権説と否認債権説との区別がある。
⑴ 純債権説
詐害行為取消権が、沿革上逸出財産の返還請求権であったことなどから、この権利の性質を請求権であると解するものである。受益者又は転得者に対する目的財産の返還請求権は、法律に定められた要件の成立と同時に発生するもので、形成的な特別の意思表示とか、返還を命ずる判決
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取消し
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問題
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民法:詐害行為取消権
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詐害行為取消権
詐害行為取消権とは、どのような制度か。
・債権者を害する法律行為の効力を失わせて責任財産を維持・保全する。
・債権者代位権以上に、債務者の財産管理権に強く干渉する制度。
・強制執行・保全執行との違い:積極的な財産回復
・否認権(破72条以下、民再127条以下、会更78条以下)との機能分担:手続の個別性・対象・効果
詐害行為取消権の法的構成について説明しなさい。
形成権説:取消訴訟の相手方を債務者及び受益者ないしは転得者であるとし、取戻しには、新たに債務者の受益者または転得者に対する不当利得返還請求権を代位行使。
請求権説:訴訟の相手方は受益者または転得者で、取消の効果を債権者と被告との間に相対的に生ずる。
相対的無効説(折衷説):訴訟の相手方は受益者または転得者で、財産が転得者にある場合には、受益者に対して取消しと価額賠償を請求してもよいし、転得者から取戻してもよいとするもので、判例・通説の支持するところ。
責任説:原則として受益者又は転得者の所有下にありながら、債務者の財産として強制執行を許すものだとして、取消訴訟の相手方は、債務者の地位に直接の影響を及ぼさないか
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登記
離婚
責任
取消訴訟
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民法判例―「財産分与と詐害行為取消権」
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論点
「財産分与請求権についても債権者取消権の行使は可能か否か」
<序説>
離婚に際しての財産分与請求権が財産権としてどのような法的性質を有するのかについては諸説ある。?形成説は協議・審判によって形成されて始めて財産権として発生すると説く、?確認説は、財産分与請求権は離婚という事実によって当然に発生し、審判はそれを確認するに過ぎないと説く、?折衷説は確認説の立場に立ちつつも、形成説と同様に協議や審判によって形成されて初めて発生すると説く。判例は、折衷説の立場に立っているが、財産権としての性質をどのように認めるかについては、債権者取消権行使の対象となるのかが問題となる。
債権者取消権は、財産権を目的とする債務者の法律行為について、債権者が自らの債権の責任財産が債務者の元から流出することを防止する目的で、債権者が取消をすることができる権利である。これは、財産権を目的とする法律行為に適用があり、相続の場合には適用されないとの判例がある。また、取消権行使の要件としては、被保全債権が処分よりも前に存在することを要する。
財産分与請求権についても債権者取消権の行使は可能か否か検討する。
最判昭和58年12月19日第二小法廷判決
<事実の概要>
A男とY女は昭和22年に婚姻した。夫婦の間には二男三女の五人の子供がいた。昭和31年に夫婦でクリーニング店を開業し、昭和49年からA男が個人・法人名義で金融・不動産業を開業したのを契機にクリーニング店はY女に一任された。その際、金融・不動産業の開業資金としてA男はX信用組合から融資を受けていた。一方でA男はB女と不倫関係にあり、その間に子供をもうけていた。
昭和51年手形不渡りによりA名義の法人が倒産した。同年12月22日にA男とY女は協議離婚することになった。
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債権者取消権
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民法(債権総論) 詐害行為取消権 再提出
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ある時、XがAから建物を買い受けたが、他方、当該建物について抵当権を有していたB(Aの債権者)が、当該建物を代物弁済によってAから取得し、さらにYに転売して、登記も移転してしまった。この場合、XはA・B間の代物弁済の取消しと、移転登記の抹消を請求できるか。
1、民法424条によれば、債権者は、債務者がその債権を害することを知ってなした法律行為の取消を裁判所に請求することができる(債権者取消権)。これは、減少された責任財産を回復することを目的とするものである。
この債権者取消権の性質については、詐害行為の取消を請求する権利とする「形成権説」や、責任財産の返還を請求する権利とする「請求権説」、債権者取消権は責任的無効という効果を生ずる一種の形成権であるとする「責任説」などがあるが、詐害行為を取消し、さらに逸出した財産の返還を請求する権利であるとする「折衷説」が今日の判例・通説である。
また、債権者取消権の要件としては、①被保全債権の存在の他に、②客観的要件と③主観的要件を必要とする。
①被保全債権は、詐害行為の前に成立していなければならないというのが判例・通説である。また、債権者
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レポート
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債権者代位権と詐害行為取消権について、指名債権譲渡との対抗要件の構造の分析
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責任財産保全のための制度である債権者代位権と詐害行為取消権について、その共通点、相違点をまとめ、効果論の面で共通する課題を指摘せよ。
指名債権譲渡の対抗要件の構造を分析し、二重譲渡の際に発生する諸問題を検討せよ。
債権者代位権と詐害行為取消権
債権者代位権とは,債務者が自らの権利を行使しないときに,債権者が債務者に代わってその権利を行使するものであり(423条),債権者取消権とは,債務者が積極的に財産を減少させるような法律行為をしたときに,これを取り消す制度である(424条)。
以下,題意に従い,主な共通点と相違点を順に述べる。
共通点
制度趣旨
いずれも,本来債務者の自由に委ねられているはずの責任財産の管理に干渉する制度であるという点で共通し,事実上,強制執行の代替的な機能を果たしていることも共通である。
無資力要件
債権者代位権は「自己の財産を保全するため」(423条)に認められるものであり,「自己の財産」としては金銭債権が一般に想定され,「保全するため」(保全の必要性)とは,債務者の無資力を意味するのが原則である。
一方,詐害行為取消権では「債権者を害すること」(424条)が要件となっており,この要件は債権者代位権同様,無資力になることを意味していると解されている。他の一般債権者に優先的に弁済する場合や,不動産に抵当権を設定するような場合には引当て財産が数字上減少するわけではないが,無資力状態でこのようなことが行われれば無資力要件は満たすと考えられている。
相違点
行使方法
債権者代位権は裁判上若しくは裁判外で行使できるのに対して(423条1項2項),詐害行為取消権は裁判上でしか請求できない(424条1項本文)。その結果,詐害行為取消権は反訴として行使することは出来るが,抗弁としては機能しない。
無資力要件の緩和
原則として無資力要件が要求される点は共通点で述べたとおりであるが,債権者代位権は転用形態として無資力要件の緩和が認められている。第一に,金銭債権以外の債権が被保全債権の場合には,当該債権自体が危殆に陥っているのであるから,無資力要件は不要である。第二に,責任財産の保全が眼目で無い場合であり,共有不動産を巡る特殊な事例において,判例がこれを認めた。 これに対して,詐害行為取消権では無資力要件の緩和は認められていない。
効果論の面で共通する課題
効果論の面で共通する課題として,代位債権者や取消債権者への直接の給付が認められるかという問題がある。いずれの制度も債務者の責任財産の保全を趣旨とするのであるから,原則として権利行使の結果は全ての債権者の利益にならなければならない。すなわち,債権者代位権であれば受け取った金銭は債務者に返還し,詐害行為取消権の場合は取消債権者への給付ではなく,債務者のところに取り戻されることが必要になるはずである(425条参照)。
しかしながら,判例は債権者代位権において,受け取った金銭の返還請求権と自分の債務者に対する債権の総裁を認める。これは債権者代位権の行使に債権取立訴訟と同様の機能を認めることになり,事実上の優先弁済権を認めたことに等しい。
詐害行為取消権においても相殺を認め,按分額の支払拒絶の抗弁を認めることで,優先弁済権は確保される結果となっている。
かくして,責任財産保全の趣旨は完全には貫かれていない。
指名債権譲渡の対抗要件
構造分析
指名債権譲渡の対抗要件は,467条1項によって債務者への通知又は債務者の承諾とされ,第三者対抗要件は更に確定日付が必要であるとされている(同2項)。確定
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レポート
法学
二重譲渡
債権者代位権
責任財産
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