はじめに
ジャーナリズム論とは、ジャーナリズムを批評していく活動である。では、そもそもジャーナリズムとは何であるのか。その問いに対して大石 は以下のように定義している。「不特定かつ多数の者にたいして客観的事実を事実として知らせること(これに基づいて意見または見解を述べることを含む)」。また、清水 は次のように定義する。「大衆に向かって定期刊行物を通じて時事的諸問題の報道及び解説を提供すること」。ジャーナリズムの定義で、両者に共通しているのは、多くの不特定多数の人間に情報を報道すること、またその情報の解説を行うということである。
では、次にこのジャーナリズムと密接な関係を持つ、「公平・公正」について考えてみる。その理由は、ジャーナリズムの重要性が、国家の恣意的な介入から市民を守るという自由主義的な理論を前提にして、社会的に認められていたからである。また、ジャーナリズムは市民社会を代表して、常に国家からの抑圧、すなわち国家の「暴力」と戦わなければならない。斎藤文男は日本における戦後のジャーナリズム研究50年間を振り返った論文で、この点に関して次のように述べている。「ジャーナリズムとしてのメ...