「小学校における歌唱指導について」
小学校音楽科においては、「表現」および「鑑賞」の2つの領域を中心に授業が展開されているが、中でも歌唱活動は、音楽活動において支柱となる活動である。では、歌唱指導にはどのような意義があるのだろうか。
まず、音楽は心に生まれた想いであり、ある時は、祈りであり、勝利への賛歌であったり、人間の生活のいろいろな場面を彩ってきた。音楽は呟きから生まれたとも言われている。そもそも言葉は、人と人とが意思を伝える手段として大切な役割を担っている。そして、社会の変化とともに感情を表す言葉も豊かになり、心の想いも深く抱くようになった。そして、抱ききれない想いは、つぶやきから歌となったのである。
こうして生まれた歌は、生き生きとした表情を育てることができる。声の色合いは、感情の起伏により細かな変化を見せる。歌うことで抱いた想いは、聞いているより多くの人に様々な感情を呼び起こさせ、共感を誘うことができるのである。
学校における歌唱の役割としては、集団生活を送る子どもにとって、自己を大切にしながら相手を想う優しさをもつことにつながるのである。また、合唱で一人一人の存在を...