憲法論文答案練習
~予算の法的性格~
【問題】
予算の法的性格について論ぜよ。
【考え方】
・・・内閣の予算作成・発案権をどのように捉えるか、予算の作成が本来行政作用に属するものか、本来国会に属するものを政策的に内閣に行わせていると考えるかという点が重要となる。
1)予算行政説
・・・財政処理は本来行政作用に属するものとされてきたこと、予算と法律との相違等を根拠として、予算は行政行為であるとする見解
2)予算法形式説
・・・予算には、財政民主主義の観点から、国の財政行為の準則として行政府の行為を法的に制約・規律するという意味で法規範性が認められること、他方、憲法上、法律とは異なる独自の形式が与えられていること(憲60条、73条、86条など)等を根拠として、法律でないが法的性格をもった国法の一形式であるとする見解
3)予算法律説
・・・財政民主主義の見地、諸外国での取り扱い、憲法上の法律と予算との相違点は相対的なものにすぎず、両者を異なる法形式であるとする理由にはならないこと等を根拠として、予算は法律であるとする見解。
【答案例】
予算とは、内閣が作成して国会に提出し、国会の議会を経ることにより成立する一会計年度における国の財政行為の準則をいう。
このように、憲法は内閣に予算の作成・発案権を付与する一方、国会を財政処理の最高議決機関とし(憲83条・財政国会中心主義)、予算も国会の議決を経て成立するとしており、予算の法的性格をどのように考えるかが問題となる。
思うに、本来予算は、国民生活に密接に関連し、大きな影響を与えるものであるから、国民の意思をできるだけ反映させるように国会自身が作成するべきものである。それゆえ、わが憲法は国会を財政処理の最高議決機関として財政国会中心主義を採用している(憲83条)のである。もっとも、実際に予算を作成するとなると、それが行政作用の諸費用の確定であること、専門的技術的判断が必要となることから各行政機関を統括する内閣に原案を作成させるのが、政策的・合目的的にみて妥当である。それゆえ、憲法は内閣に予算発案権を付与したのである。
したがって、本来、予算は国会の権能に属する作用であることになるから、国の財政行為の準則として、行政府の行為を法的に制約・規律するという意味で法規範性を有するものと考えるべきである。
しかし、だからといって予算を法律そのものであると考えるべきではない。なぜなら、予算は一会計年度内という、限定された期間内でしかも主として計数をもって示される点、発案権を内閣の専権とし(憲73条、86条)、衆議院の再可決の制度を要せず(60条2項)、公布を要しない(7条1号)点において法律と異なるからである。
以上より、私は、予算は、法律と並列する国法の一形式としての性格を有する(予算法形式説)と考える。