手形小切手法論文答案練習 手形行為総論
~利益相反取引~
【問題】
Y会社の代表取締役甲は、取締役会の承認を得ることなく自己の債務を弁済するため乙に対してY会社名義の約束手形を振り出した。その後、乙は約束手形をXに対して裏書譲渡し、XがY会社に対して手形金を請求した場合、Xの請求は認められるか。
【考え方】
・・・Y会社の代表取締役甲は、取締役会の承認を得ることなく自己の債務を弁済するため乙に対してY会社名義の約束手形を振り出している。そこで、この振出行為が利益相反行為(手形265条)に該当し、同条に違反するのではないか。
↓
・・・この問題では、①手形行為に265条の適用があるか、②あるとする場合、利益相反の有無の判断基準をどのように解するべきか、③利益相反にあたる場合、265条に反してなされた手形行為の効力はどのように解するべきかが焦点となる。
①265条の手形行為への適用の有無
1)適用否定説
・・・ 手形行為に265条の適用はない。(この立場は、265条の適用を否定すること自体によって、手形取引の安全を図る立場)
但し、原因関係...