シナリオ案 美容契約3

閲覧数1,361
ダウンロード数3
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 全体公開

    資料の原本内容

          
       ~注文と大きく異なる髪形にされた場合、損害賠償を取れるか?~
    1 シナリオ
     女性アイドルXは、テレビで見ない日がないほどの人気で、雑誌の人気投票でも常に上位に入るほどだ。見た目の特徴としては、身長は155cm程度で、体重は分からないがスレンダー体型である。しかし、彼女の一番のチャームポイントは茶髪のロングヘアーで、彼女自身、髪の手入れは毎日熱心に行っている。
    3月21日の夕方、Xはテレビ局から帰る途中、美容室Yに立ち寄った。美容室Yは有名店で優秀な美容師が数多く在籍しており、全国美容師コンテストの優勝者も数名勤務している。Aはその中でも群を抜いて優れた技術を持つスタイリストであり、雑誌でも特集が組まれたほどだ。A自身も自分の技術には絶対の自信を持っており、そのせいか、多少強引なところがある。
    XはAを指名し、XとAは事前にどのような髪型にするか話し合った。「このページの人の髪型と同じ髪型にして下さい。」とXが雑誌の1ページを指しながら言うと、Yは「かしこまりました。私ならあなたをより素敵に出来ます!」と答え、作業の準備に取り掛かった。指定した髪型は、現在のXの髪型よりも5~6センチ短いくらいで、いわゆるセミロングと呼ばれる程の長さだ。
     作業の順序は、①希望する髪形近づけるために大まかにカットする。②茶髪を維持するためにカラーリングを施す。③仕上げをする。というものだった。
     Aによるカットが始まり、Xは女性雑誌を読みつつ、目の前の鏡に映し出される自分の姿を見ていた。そうしているうちにAはXの髪をバサバサ切り始めた。Xは不安になり、「こんなに切っても大丈夫なの?」と尋ねたところ、Yは「大丈夫です。任せてください。俺には完璧なイメージが出来ています!」と言った。また、カラーリングの工程では4回もやり直した。
     仕上げの段階で、Xは自分が指定した髪型と全く違い、肩にもかからないほど短く切られていた。怒ったXは作業の中止を強く求めたので、Aは作業を止めた。Xは代金を支払い、そのまま帰った。
    その後、Xはしばらくの間、イメージを壊さないよう、芸能活動の際にエクステンション(カツラ)をつけなければならなくなった。その結果、雑誌の人気投票で一位どころか上位に連なることもなくなり、テレビやCMの出演も激減した。また、Xは自慢の髪を滅茶苦茶にされたことから、涙を流さない日はないほど落ち込んでしまった。
     そこで、Xは弁護士と相談の上、Aの勤務先であるYを損害賠償で訴えることとした。
                          (…東京地判H17/11/16を参考に)
    2 争点
    ・美容契約の具体的内容  ← これが分からないと話が始まらない!
    ・美容契約の法的性質   ← 美容師Aにどのくらい裁量があったか?
    ・債務不履行の成否    ← 損害賠償の根拠
    ・損害の認定       ← 損害の内容(財産的な損害? 精神的な損害?)
                   因果関係
    損害の範囲
    2

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。