民事訴訟法 ダメ答案1 一部請求

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    民事訴訟法第2部答案(判例ベース):一部請求
    設問1
     一部請求とは、第一義的には可分な金銭債権につき債権額全額のうち一部を訴訟において請求することができるか、という問題である。
     思うに、訴訟物を特定する権能は当事者が有していることは条文から明らかであり(246条)、上記のような請求をすることは処分権主義から当然認められる。
     そこで、このことを前提とした上で問題となるのは、上記請求について判決が確定した後、原告は債権の残額を残額の請求を求める訴訟を提起できるか、という点にある。
     残額請求を全面的に肯定すると、被告は何度も応訴させられる。また、同一事件に関する訴えが何度も提起されるということであるから、訴訟経済上および紛争解決の一回性の要請に合致しない。反対に残額請求を全面的に否定すると、処分権主義に反し、また、試験訴訟の可能性を排除することとなり、妥当ではない。
    そこで、原告が前訴において請求が債権額の一部であることを明示している場合に限り、後訴で残額を請求することが許される、とするべきである。訴訟物について、明示の場合は、一部が訴訟物となる。黙示の場合は、一部請求額を債権全額として訴訟物が特定される。
    設問2
     不法行為において、被害者にも過失が認められる場合、過失相殺として損害賠償請求額が減額される(民722条2項)。この点、一部請求の場合、当該債権のどの部分から減額するかが問題となる。
     1より、一部請求における訴訟物は債権の一部である。かかる点より、訴訟物である請求額から減額されるように思われる。しかし、原告は訴訟費用の節約のために試験訴訟として一部請求を行っているから、このように解すると原告の合理的意思に反する。よって、残額から減額すると解するのが妥当である。
     本問を検討すると、Yによる本件不法行為について、Xにも2割の過失(つまり、500万)が認められると判断されている。上記より、残額の1000万が減額され、500万となる。よって、Xの請求に対して1500万円の全面的認容判決をすべきである。
     仮にYが過失相殺を主張しなかった場合は、弁論主義の第一命題より、当事者の主張しない事実は弁論に表れないから、Xの請求が認容される。
    設問3
    (ア)について
     設問1より検討すると、(ア)の請求は後遺症による損害について黙示的であり、後訴が遮断されるように思われる。
    しかし、本問のような不法行為の後遺症は、当事者にとって予見は不可能である。債権の存在を予見できない場合、後訴が遮断されると、原告に酷である。また、設問1・2のように債権額全体を知っていた(知りえた)にもかかわらず、債権の一部を請求するという場面とは明らかに異なる。
     これらを考慮すると、本問のような場合、原告による後訴は遮断されないと解するのが相当である。
     よって、(ア)の請求を求める訴えは例外的に認められると解する。
    (イ)について
     設問1より、Xは債権全体を明示しており、前訴の既判力は請求の内容である債権の一部に限定される。よって、Xによる(イ)の請求は既判力によって遮断されず、Xはかかる訴えをすることができる。
    以上
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    コメント1件

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    2009/02/01 17:02 (15年10ヶ月前)

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