一部実行全部責任の原則・根拠解答例

閲覧数5,687
ダウンロード数2
履歴確認

    • ページ数 : 1ページ
    • 全体公開

    資料紹介

    資料の原本内容

    ~一部実行全部責任の原則・根拠~
    【問題】
    共同正犯において、一部実行全部責任の原則が認められるのはどのような根拠か。
    【解答例】(前田説をベースに作成)
    1 共同正犯は「すべて正犯」(60条)とされ、ほかの共同正犯者の行為の結果についても帰責される(一部実行全部責任の原則)。
    2 では、この「 一部実行全部責任の原則」はどのような理由から認められるか。
    一部実行全部責任の原則は、一見自己の行為と因果性のない結果について責任を負わせているようにも思われる。
     しかし、本来刑法の目的が法益保護にあることからすれば、処罰の対象となるには、法益の侵害(ないしその危険)を惹起したことが必要である。
    共同正犯において、 一部実行全部責任の原則が認められるのは、単独犯以上に重く処罰されるべき政策的必要と、それを支えるだけの法益侵害の増加が認められるからである。つまり、「共同して犯罪を実行した」 (60条)場合には、物理的共同とともに、意思の連絡があることで共同正犯者が相互に教唆ないし心理的幇助を行い、心理的影響を及ぼしあうことによって、結果発生の蓋然性を高めるのである。
     それゆえ、共同正犯者各自は他者の行為に影響を与え、結果に因果性を及ぼしたから、共同しなければ帰責されない他人の行為・結果についても帰責される。
    (参考資料)
    前田雅英「刑法総論講義 第4版」 2006年

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。