1.律令国家とは、律令を基本法典とする国家をいう。律令国家の基本原理は、官僚制や班
田収受を中核とする中央集権であり、旧来の政治体制を大きく変えるものであった。646 年
に発せられた改新の詔においても、公地公民制への移行、行政制度の整備などが謳われ
ている。日本においては、対内的には、乙巳の変において暗殺された蘇我入鹿による専横
的政治に対する不満のため政治改革が求められ、対外的には、中国で続く戦乱に対抗する
ために国内体制の強化が要請された。そこで、律令国家となる必要が生じたのである。
2.(1)中央における官職制度は、二官八省制が採られた。これは、天皇の下に太政官(一般
政務を司る最高部局)と神祗官(祭祀を司る)とが置かれ、さらに、太政官の下に八省(中務省、
式部省、治部省、民部省、兵部省、刑部省、大蔵省、宮内省)が置かれる分業体制であった。
また、これらの官職にある役人を監視するために、弾正台が置かれた。
もっとも、この官職制度は当時の国情には適合しなかったのであろう、後に、令法典に規
定のない官職が設置されるようになった(令外官)。これには、関白・蔵人・検非違使などがあ
り、...