法源は、文字、文章で表現されて所定の手続きに従い作られる成文法、主に社会での慣行を基礎として生成する不文法と大別できる。慣習法は後者の不文法のひとつである。この法源としての慣習法を論ずべき意義はなにか。それは、慣習法が発展し続けている社会に必要不可欠なものであるからである。以下成文法について述べ、慣習法との相互関係を歴史的考察から論及していく。
成文法は、古代バビロニア王ハンムラビによって制定されたものの、概して古い時代には成文法は少なく、主に不文法が主流となっていた。しかし、近代にいたって、近代市民法が形成され、中央集権的な近代市民国家が確立してくると、ヨーロッパ大陸の諸国を初め、これらの諸国の法秩序を母法とする国々において、制定法を法源の基本として不文法は成文法を補完するものと位置づけるものである「成文法主義」が採用されていったのである。日本法も例外ではなく、その系統に属する法秩序のひとつであるといえるが、成文法は一長一短ではあり、長所として内容が明確である点などが挙げられる反面、固定化されることによって現実の社会との乖離、制定への時間的な問題から急激な社会変化への対応が早急に行...