87回問87
酸性高温過マンガン酸法の概略を示す。これに関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
試料にAgNO3溶液を加えたのち、H2SO4溶液を加えて、沈殿が生成するまでかくはんする。次いで、KMnO4溶液を加えて沸騰水浴中で加熱したのち、シュウ酸ナトリウム溶液を加えて脱色する。KMnO4溶液で微紅色が消えずに残るまで滴定する。
本法は、汚水・下水の化学的酸素要求量(COD)測定に用いられる。
AgNO3溶液の添加は、反応の促進(触媒作用)及びCl-の影響を除くためである。
H2SO4の添加後に生じる沈殿は、AgClである。
本法では、ニクロム酸法(重クロム酸法)に比べて、有機物の酸化が進行しやすい。
1(a,b) 2(a,c) 3(a,d)
4(b,c) 5(b,d) 6(c,d)
解答 1
○
○
× 酸性高温過マンガン法では、Cl-の影響を除くため、AgNO3溶液を添加し、Cl-をAgCl として沈殿させたのち、過剰のAg+は、H2SO4溶液を加え、完全にAg2SO4の沈殿として生成させる。よって、H2SO4溶液の添加後に生じる沈殿は、Ag2SO4である。
× 本法で用いる過マンガン酸は、ニクロム酸法(重クロム酸法)で用いるニクロム酸に比べて、酸化力が弱いため、有機物の酸化が進行しにくい。
参考
二クロム酸法:本法では、有機物はほとんど完全に分解される。
酸性高温過マンガン酸法:本法では、炭化水素化合物が酸化されやすいが、窒素質の有機化合物は酸化されにくい。