85回問122
次の薬理作用と薬物受容体・情報伝達系の対応について、正しいものの組合せはどれか。
薬理作用 薬物受容体・情報伝達系 a
ドパミン塩酸塩の強心作用
アドレナリンβ1受容体刺激によるGsタンパク質の活性化 b
クロニジン塩酸塩の降圧作用
アドレナリンα2受容体遮断によるGiタンパク質の不活性化 c
ブチルスコポラミン臭化物の鎮痙作用 ムスカリンM3受容体遮断による Gqタンパク質の活性化の阻害 d
ブロモクリプチンメシル酸塩の 抗パーキンソン作用 ドパミンD2受容体刺激によるGiタンパク質の活性化 e
バクロフェンの中枢性筋弛緩作用 GABAA受容体刺激によるCl-チャネル開口
1(a,b,c) 2(a,b,e) 3(a,c,d)
4(b,d,e) 5(c,d,e)
解答 3
○ ドパミン塩酸塩は、アドレナリンβ1受容体刺激によりGsタンパク質の活性化させる。Gsタンパク質が活性化されるとアデニル酸シクラーゼが活性化するため、サイクリックAMPが増加し、プロテインキナーゼAが活性化する。その結果、ドパミン塩酸塩は強心作用(心収縮力及び心拍出量の増大)を示す。
× クロニジン塩酸塩は、アドレナリンα2受容体刺激によりGiタンパク質を活性化させる。Giタンパク質が活性化されるとアデニル酸シクラーゼの活性化を抑制するため、サイクリックAMPが低下し、プロテインキナーゼAの活性化を抑制する。その結果、ノルドレナリンの遊離抑制が起こり、クロニジン塩酸塩は降圧作用を示す。
○ ブチルスコポラミン臭化物は、ムスカリンM3受容体遮断によりGqタンパク質の活性化を阻害する。Gqタンパク質の活性化が阻害されるとホスホリパーゼCの活性が抑制されるため、イノシール三リン酸の合成が抑制される。その結果、Ca2+の遊離または細胞外からのCa2+の流入が抑制され、ブチルスコポラミン臭化物は、鎮痙作用を示す。
○ ブロモクリプチンメシル酸塩は、ドパミンD2受容体刺激により抗パーキンソン作用を示す。
× バクロフェンは、GABAB受容体刺激によりK+チャネル開口させる。K+チャネル開口されると、細胞内が過分極され、神経活動が抑制される。その結果、バクロフェンは、中枢性筋弛緩作用を示す。