近年、航空産業は熾烈な競争を繰り広げている。本業である旅客や貨物の移動を目的とした航空輸送サービス以外に、航空写真撮影、農薬散布、操縦訓練、さらには関連事業としており航空代理店、宿泊施設などの航空関連のサービス産業へも参入しており、本業ばかりでなく、経営の多角化、つまり範囲の経済性を追求する航空企業が多い。しかし、従来の航空輸送市場は幼稚産業であり、国家の手厚い保護のもとにあった。ここでは、航空輸送産業がどのような経緯を経て、現在のような熾烈な競争下におかれるようになったのか、その変貌と現状を以下に述べていく。
近年、航空産業は熾烈な競争を繰り広げている。本業である旅客や貨物の移動を目的とした航空輸送サービス以外に、航空写真撮影、農薬散布、操縦訓練、さらには関連事業としており航空代理店、宿泊施設などの航空関連のサービス産業へも参入しており、本業ばかりでなく、経営の多角化、つまり範囲の経済性を追求する航空企業が多い。しかし、従来の航空輸送市場は幼稚産業であり、国家の手厚い保護のもとにあった。ここでは、航空輸送産業がどのような経緯を経て、現在のような熾烈な競争下におかれるようになったのか、その変貌と現状を以下に述べていく。
従来、航空輸送は、軍用機ばかりでなく、民間航空輸送業においても国家の威信がかかっており、また幼稚産業ということもあり、手厚い保護のもとにあった。国家の威信をかけ国旗を背負って飛ぶ航空会社とは、ナショナル・フラッグ・キャリアであった。しかし、19 78年に成立した米国の「規制緩和法」が航空産業に対する政府の保護の姿勢を崩すことになった。同法によって路線免許、運賃規制を段階的に撤廃し、最終的には、政府保護を撤廃し、航空産業は自由競争を前提とする「一般産業」と同等の産業として位置づ...