※課題Ⅰ 著明な哲学者を挙げ、テキストを読み進む内に生じる自分なりの疑問、批判を明確に述べよ。
テキストを読んでいく中で、最初に気になったところは、ソクラテスが、自然哲学ではなく人間の生き方に思索を転じた理由についてである。テキストによれば、それは一つに、自然哲学者の言う世界の原理である「地・水・火・風」の四要素が何ら証明されることのない虚構に過ぎないものである、と言うことであった。そして、二つ目は、「世界の原理(初め)についての知識は、人間の本来的関心事である人生の目的、個人としても市民としてもよく生きるための知識にとっては無用であるという価値批判である」(P13)とされている。
二つのうち、わたしには後者の理由が疑問に思われた。世界の原理についての知識を必要としないということは、我々が常に存在し生活している場所、すなわち大きな視点でいうところの「世界」や「地球」、「太陽系」といった概念を必要としないことになるように思われるのである。この考えを推し進めれば、個人が把握するのは、せいぜい自分の生活圏である一部の小さな領域にとどまることであろう。しかし、現在我々が生きている社会を考...