『学校カウンセリングの意義・理論・方法および今後の課題について述べなさい。』
広い意味においてカウンセリングとは、牧師などが日常生活を営む上で生じる悩みに対して相談や指導をするような、学術的な理論における裏付けがなく、相談を受ける個人の資質や経験に負うところが大きく、その人に素質があり、人生経験が豊かであれば、誰にでもできると考えられるかもしれない。しかし、近代に入り社会の構造が複雑化するにしたがい、人々の悩みも多岐にわたり、その相談内容も多様化し、単なる素質や経験だけでは対応できないようになってきた。そのため、人生において誰もがもつ悩みに対するカウンセリングではなく、誰もが持つ可能性のある悩み、すなわち非社会的行動や反社会的行動、あるいは神経症(ノイローゼ)による悩み等に対応できるような一定の知識や技術が要求されるようになった。
カウンセリングには大きく分けて二種類ある。一つは治療的カウンセリングであり、もう一つは発達援助的カウンセリングである。治療的カウンセリングとは、自己(自我)が完成されている大人、というより自我がこれ以上発達しない成人に対して主に行われる、専門的な知識と技...