『現在は情報社会さらには知識社会と呼ばれているが、その社会にあっては知識を扱う教育はきわめて重要である。基礎基本の学力と教育格差と経済格差との関連について論ぜよ。また格差問題を解決するうえで教育方法はどのようにあるべきか。』
現代の社会は「情報社会」とも、「生涯学習社会」ともいわれ、様々な情報にアクセスする機会や、教育を受ける機会は、これまでのどの社会とを比べても格段と広がっている。もはや学校だけが教育の場ではない、という認識は、すでにわたしたちの間で常識となっている。行政の側も、人々の学習をさまざまな方法で支援するシステムを整えてきている。しかし「情報社会」では、学校という国家の伝達装置を通して知識の≪普及≫をはかるまでもなく、知識はインターネットなどの電子媒体と市場を通じて、すでに十分≪流通≫している。情報ネットワークにアクセスする手段を所有しているか否かで、人びとの間に経済格差が広がっているのもまた、事実である。つまり、情報ネットワークが人びとの社会的むすびつきから時空間への制約を取りはらい、これまでの伝統的な地域的つながりに見られたような、ある意味での自然な相互扶助の共同体的...