『テネシー・ウィリアムズ作『ガラスの動物園』の主題について述べよ。』
『ガラスの動物園』は、テネシー・ウィリアムズの出世作で自伝的戯曲として知られている。この戯曲は、1930年代の不況時代のアメリカを背景にして、ウィングフィールド家が映し出す希望や失望、ジレンマや抵抗等の様々な感情を織り交ぜた悲劇・追憶劇であり、孤独と不満が哀愁をもって描かれている。構成は、第1部の「紳士の訪問にそなえて」と第2部の「紳士の訪問」の2部に分かれており、第1部が2場、第2部が5場の、あわせて7場から成る。各場は挿話といった趣を呈し、場全体を通じて輪郭のはっきりした展開という形をとらない。追憶に似て、情緒の赴くままに過去の思い出を紡いでいく気まぐれな断片性がどこか漂っている。
【登場人物】
登場人物はウィングフィールド家のトム、姉のローラ、母のアマンダと、トムの同僚であるジムの4人である。トムは、父親の居ない家計を支える為、靴工場で働いている。夢はあるが家庭に縛られ追いかける事が出来ないでいる。また、惨めな人生から抜け出したいと考えている。さらに、劇中には現在を生きるトムが語り手として登場する。姉のローラ...