著作権法レポート
1.本レポートは、NTTタウンページ事件(東京地判H12.3.17)と、自動車用データベース事件(東京地判中間判H13.5.25)を取り上げ、データベースの著作物性、すなわち「創作性」の有無について両者の判断が分かれたのはいかなる事情によってか、データベースについて著作物性が否定された場合、これを保護するにはいかなる方法があるか、損害額の算定方法はどのようにすべきか、という点について、順に述べる。
2.著作権法12条の2によれば、データベースが著作物であると認められるためには、「その情報の選択または体系的な構成に」「創作性」がなければならない。両判決では、この創作性の有無が争点となった。
NTTタウンページ事件は、原告が、自ら作成したデータベース(以下「タウンページ」という。)及び職業別電話帳には、それぞれデータベースの著作権及び編集著作権が認められるところ、被告によるデータベース(以下「職業別データ」という。)の作成及び頒布が、原告の上記各著作権を侵害するものであると主張して、被告に対し、業種別データの作成及び頒布の差止め及び廃棄並びに損害賠償を求めた事案である...