著作権法レポート
Ⅰ.はじめに
本レポートでは、著作物該当性について争われた裁判例①ラストメッセージin最終号事件(東京地判平成7年12月18日)、②日経新聞要約翻案事件(東京地判平成6年2月18日)、③パックマン事件(東京地判昭和59年9月28日)を取り上げ、それぞれを分析するとともに、被告の反論可能性について検討する。
Ⅱ.著作物となる要件
ある物が著作物であると認められるためには、「①思想又は感情を②創作的に③表現したもの」でなければならない(著作権法2条1号。以下条文のみ示す)。
①思想又は感情とは、人間の何らかの精神活動があれば足るものと解されており、何らかの表現がなされていれば、通常何らかの思想又は感情が含まれており、例外的に、客観的な事実自体を記した文章は思想又は感情が否定される。
②創作性とは、何らかの表現者の個性が表れていることをいい(ただしプログラムなどの産業的著作物の出現により、これを「表現上の選択の幅」がある場合に創作性を認めるべきであるとする見解もある)、独創性や新規性があることまでは必要とされない。
③表現とは、思想又は感情が表現されていることであり、
著作権法レポート
Ⅰ.はじめに
本レポートでは、著作物該当性について争われた裁判例①ラストメッセージin最終号事件(東京地判平成7年12月18日)、②日経新聞要約翻案事件(東京地判平成6年2月18日)、③パックマン事件(東京地判昭和59年9月28日)を取り上げ、それぞれを分析するとともに、被告の反論可能性について検討する。
Ⅱ.著作物となる要件
ある物が著作物であると認められるためには、「①思想又は感情を②創作的に③表現したもの」でなければならない(著作権法2条1号。以下条文のみ示す)。
①思想又は感情とは、人間の何らかの精神活動があれば足るものと解されており、何らかの表現がなされていれば、通常何らかの思想又は感情が含まれており、例外的に、客観的な事実自体を記した文章は思想又は感情が否定される。
②創作性とは、何らかの表現者の個性が表れていることをいい(ただしプログラムなどの産業的著作物の出現により、これを「表現上の選択の幅」がある場合に創作性を認めるべきであるとする見解もある)、独創性や新規性があることまでは必要とされない。
③表現とは、思想又は感情が表現されているこ...