「要介護者への終末期ケアにおける家族への対応の方法について」
私たちにとって死は恐ろしい、怖い出来事であり、それゆえ私たちは死をとにかく忌むべきもの、回避したいものと考える傾向がある。また、私たちの生命が、私たちの前を歩んだ幾多の人々の生と死の延長上にあることも忘れがちである。加えて、医療機関などの施設で亡くなる人の割合が高くなるにつれて、死をめぐる過程は人々からますます縁遠い問題になっている。在宅で肉親や親しい人の死を看取る体験が少なくなるにつれて、死と死にゆく過程について知る機会が減少している。このため、いざ自分や家族に致死疾患の宣告がなされた場合にどう対処してよいかわからず、精神的に動揺したまま時を過ごしてしまうことがある。死をめぐる諸問題を理解し、臆せず死をみつめることは、死にゆく人々の援助に役立つのみでなく、自らの成長と成熟を助けることに繋がる。
日本尊厳死協会は、尊厳死を宣言し、それを書面に残す運動をしている。これはリビングウイル(尊厳死の宣言書)とよばれ、平成10(1998)年の「末期医療に関する意識調査等検討会」は、国民の48%、医師の70%、看護職員の68%が「...