ジョン・ロックにおける子どもの教育論、特に習慣形成や賞罰法を中心に述べよ。
彼の教育論の根底にあるのは、生まれたばかりの子どもにはなんらの観念や原理も存在しないということがある。『自然法論』では、「誕生時、人間の精神はあらゆる種類の印刻を受け容れる事ができる」というタブラ・ラサの主張がなされている。すなわちロックは、人は外部から観念を詰め込む事によって、いくらでも恣意的に人間を形成する事ができると主張している。また、子どもはそれを受け入れる自発性と可能性を持っている存在だとも考えている。ロックの思想の核心は人間にあり、この上に、彼の全思想は構築される。
彼の主張するタブラ・ラサ説の帰結として、無の状態からさまざまな観念を備えるようになるのは経験によるものであるという経験主義および方法さえ確実ならば子どもの心はどのような方向にでも決定されるという楽観主義・教育万能論が導かれる。無が前提であるので、一定の年齢になるまでは自分の内に起こるものを内省することはほぼなく、もっぱら外部にのみ目を向けていると考えている。
そこで彼はまず、教育は感覚的訓練から始めるべきだと主張している。感覚を通して知...