『現代の教師に求められる「資質」とは何か』
1.はじめに
戦後日本は、経済の発展と共に進学率も高校進学率96%、大学進学率52.3%まで上昇し、教育大国となった。しかしその背後で、学歴社会問題、いじめや不登校問題、さらには学級崩壊といった多くの教育問題が生じている。教育問題が社会問題として大きく取り上げられると、必ずと言ってよいほど矢面に立たされるのが教師である。常に変化する社会で、学校を取り巻く環境が悪化するにつれ、子供に直接指導にあたる教員には優れた資質能力と実践的力量を有する人材を確保することが重要視されている。子供に「生きる力」をはぐくむことを基本とするこれからの学校教育の実現のため、教員に強く求められている「資質・能力」とはどういうものだろうか。
2.教員に求められる資質
教員に強く求められている資質は大きく「いつの時代にも教員に求められる資質能力」と「今後特に求められる具体的資質能力」の2つに分類される。
昭和62年12月18日付の教育職員養成審議会答申「教員の資質能力の向上方策等について」にこのような記述がある。
教員については、教育者としての使命感、人間の成長・発達につ...