介護保険制度の概要と課題について述べよ。
1 介護保険制度登場の背景
介護保険制度新設の背景として「要介護高齢者の増加」と「家族介護の限界」の要因があげられる。要介護高齢者などは2000年の280万人から、2025年には520万人となるとされ、そのうち寝たきりの高齢者は230万人となるといわれてきた。
日本の介護は家族に大きく依存し、介護者の85%が女性である。そして介護者の高齢化も進み、65歳以上の介護者50%を超えている。
これらの家族に心身両面の過度な負担がかかり、介護虐待、時には介護離婚もある。また退職などを余儀なくされ、特に女性の就業の阻害要因となっている。
介護保険制度ができる前の制度として、老人福祉法と老人保健法を述べていく。老人福祉法による老人介護のサービスは、特別養護老人ホーム、ホームヘルプサービス、デイサービス等で、要否の判定、内容の決定という市町村の措置制度で行われていた。この措置制度には①利用者がサービスの選択をできない、②市町村が直接、または委託によりサービスが行われ、画一的であるという問題があった。
老人保健制度による老人医療のサービスは...