表現の自由について。
日本の憲法第21条第1項は、表現の自由を保障している。憲法でいう「表現の自由」とは、基本的に国家権力の規制からの自由である。日本の憲法は精神の自由の肯認を基本原理とし、異なる観念・思想の共存を保障している。民主主義は本来、多様な意見の共存を認めるものであり、日本国憲法に基づく国家も、一元主義ではなく、思想的多元主義に立脚している。そして、多元主義の下では思想的寛容が強く求められる。このような寛容さは、何ら権力をもたない者に比べて、何らかの権力を担う者により強く要請されることである。 表現の自由に対して何らかの規制が行われるとした場合、その規制の当否をどのような基準で判...