アメリカにおいておし進められてきた「新自由主義」政策が「貧困大国」を生み出した事態について、災害、医療、教育、戦争という「人のいのち」にかかわる四つの領域のどれかひとつの領域を選んで、その実態を詳しくつかみ、重要なことを整理してみよ。
「新自由主義」とは、さまざまな国家事業の民営化を推し進めることによって市場の自由化を進めようといったものである。しかし、あらゆる分野で企業は利潤を追求し、その結果さまざまな形で貧困層が拡大している。「人のいのち」に関わる分野の民営化によって、貧困層の人々は人間らしい最低限の生活をするのに精一杯という状況を強いられている。
ここでは、教育の領域について述べていく。
2002年春、ブッシュ政権は新しい教育改革法「落ちこぼれゼロ法」を打ち出した。これは国が学力の低下を防ぐために教育を管理するというものだ。
まず、全国一斉テストを義務化する。ただし、学力テストの結果については教師および学校側に責任を問うものとする。よい成績を出した学校にはボーナスが出るが、悪い成績を出した学校はしかるべき処置を受ける。たとえば教師は降格か免職、学校の助成金は削除または全額カッ...