以下の設問(1)および(2)について答えなさい。
(1)AはBを受取人として約束手形を振出し、Bはこの手形をCに裏書譲渡した。満期においてCがAに手形金の支払を請求するときに、すでにB・Cの原因関係が消滅していた場合、AはCの請求を拒むことができるか。
(2)AはBを受取人として約束手形を振出し、Bはこの手形をCに裏書譲渡した。Bは、Cに対する賭博の負けの支払のために、この手形をCに裏書譲渡したものである。満期におけるCのAに対する手形金の支払請求に対して、Aはこれを拒むことができるか。
(1)本問は、自己の債権の支払確保のため裏書人Bより約束手形の裏書を受けた手形所持人Cが、原因関係の消滅後に振出人Aに対してする手形金請求の可否を問ういわゆる「後者の抗弁」の問題である。
確かに、AはBを受取人として約束手形を振出し、Bはこの手形をCに裏書譲渡している点からみれば、手形の無因証券性から裏書の原因関係が消滅していても満期日におけるCのAに対する支払請求は認められるべきとも解される。また、原因関係の消滅は人的抗弁事由であるが、人的抗弁の個別性から、原因関係の消滅は、原因関係の当事者にお...