日本国憲法は、政教分離原則を定めている(20条3項・1項、89条)。政教分離について、次のA、Bの問題に答えなさい。
A 津地鎮祭事件とは、どのような事件か。最高裁は、この事件に対してどのような判断を示したか。
B 政教分離についての最高裁の判決には、このほかどのようなものがあるか。いくつかの例を挙げて、事件と判決の内容を説明しないさい。
政教分離原則とは、国家から特権を受ける宗教を禁止し、国家と宗教の分離の原則であり、憲法20条1項及び同条3項において、国家の宗教的中立性が明示されているものである。この政教分離を財政面から裏付けているのが憲法89条とされる。
わが国における政教分離は、国家と宗教とを厳格に分離し、相互に干渉しないことを主義とするアメリカ型の形態に属している。
しかし、国家と宗教との厳格な分離とは言っても国家と宗教とのかかわり合いを一切排除する趣旨ではなく、ここでは、国家と宗教との結びつきがいかなる場合にどの程度まで許されるかが問題となる。
この点について、アメリカの判例においては、「目的・効果基準」といわれる三要件を基準とし、わが国でも、...