なぜ強制執行に「債務名義」の存在が必要であるかを明らかにしたうえで、民事執行法22条が定める各号の債務名義(意義・取得方法)につき説明しなさい。
1、強制執行は債務名義により行うと定められている(民事執行法22条)。ここで債務名義とは、一定の給付請求権の存在と範囲を表示した文書で、法律により執行力が認められたものである。従って強制執行は、債務名義に表示された内容(実現されるべき給付請求権や執行対象財産ないし責任の限度等)を基準として進められることになる。
また、強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施するという定め(民事執行法25条)がある。これは、強制執行の手続を開始する際、執行機関が、開始を申立てた執行債権者から提出される債務名義がそのときもなお効力を失っていないことを確かめるため、原則として執行文が必要となる。またこの点については、我が国においては強制執行にあたり判断機関と執行機関が分かれており、債務名義の中には一定の条件が充足されたら具体的な給付義務が発生するといった内容のものもある。その条件の充足等の判断を執行機関が行うのは不適当であり、執行機関にはあくま...