テキストの第六章第二節『平家物語』の「敦盛の最期」について、詳しく教材分析を行い、その教材価値を具体的に述べなさい。
はじめに
現行の様々な中学校国語教科書を概観してみると、多くの教科書が『平家物語』を2年次の古典学習の中核的教材として採録している。特に多いのが、冒頭文「祇園精舎」と「扇の的」「敦盛の最期」のうちのどちらか一方を掲載する形である。このうち「祇園精舎」は名文として名高く暗誦に最適な素材である。また「扇の的」はオノマトペや対句表現が多く音読向きである。では「敦盛の最期」にはどのような教材価値があるのだろうか。
このリポートでは、対象を中学2年生と仮定し、学習指導要領の指導事項や実際の指導などにも言及しつつ、「敦盛の最期」が持つ教材としての有用性を検討する。
平家物語の教材的優位性
中学生が学習する古典作品において非常に重要になる要素が文章の読みやすさである。現代の子どもたちは古典作品に親しむ機会が少なく、古典の言葉を半ば未知の言語のように捉えている側面がある。そういった事情を鑑みれば、例えば『源氏物語』のように、古典作品や古語特有のルールに慣れないと読解が難しい作品は中学...