法学 3単位目 ①
『近代憲法成立の史的背景と原則』
歴史上、近代憲法を最も早く実現させたのはイギリスである。基本原理を確立したのは、名誉革命による1689年の権利章典であるとされている。
他の国々が成文憲法典の制定によって初めて近代憲法を実現したのに対して、中世以来、一貫して不文憲法を保持発展させると言う改革的保守主義、経験と現実を重視しつつ、柔軟でかつ漸進的な改革を行おうとする思想によって、徐々に近代憲法の諸原理を確立してきたと言う特異な点を有する。
アメリカでは、アメリカ独立革命の中で各州が成文憲法を制定していく。それらの憲法の基本理念を示したものが独立宣言であり、その内容はロックの自然法思想に立脚するものである。各州の憲法は、三権分立を骨子とする統治機構に関しての規定と、基本的人権を保障する権利章典の規定とからなり、近代成文憲法の基本的形態を確立させた。その後、同様の原理に基づく連邦憲法としてのアメリカ合衆国憲法を成立させたが、連邦主義と州権主義との関係・原則を示す事によって、世界最初の近代連邦憲法としての意義を有する。
フランスは、市民革命を通じて近代成文憲法を成立...