法学 1単位目①
『法と道徳の差異』
かつての中世の西洋法思想では、法と道徳は同一の規範であるとする認識が一般であった。
現在では法と道徳が重複するものも多い。その中には、人を殺してはいけない、人のものを盗んではならない、約束は守るべきであると言った、法でもあり人間の道徳でもあるものがある一方、法と道徳が一致しないものと二つがある。
道徳と無関係な法として、高次な道徳を法にしても、普通の人には守る事ができず機能しなくなるものがある。法は現実社会を対象としているのに対し、道徳は理想の世界、非現実的と言える。また、法の中には技術的なものも多く、交通法規や行政組織に関する法は道徳とは無関係と言える。道徳に反する法として、正当防衛や犯罪の時効、ギャンブルの公的管理等、現実の人間の原罪をコントロールする法がある。
対象説は、法は人の外面的行為を対象として規律するが、道徳は良心・心情等の様に人の内面性を対象として規律する見解である。これは、人を殺すと言う意思を持つだけでは、道徳上は非難されても法的には違法性は見られない。つまり結果が必要であり、客観的な外の立場からの根拠が必要なのである。道徳に...