児童虐待は児童に対する重大な人権侵害であり、児童の心身の成長や人格形成にも重大な影響を及ぼす。その発生件数も増加を見せ、制度的な対応を行うことが喫緊の課題であった。
この児童虐待の防止のための法制度としてはまず、平成12年に議員立法として制定された「児童虐待の防止等に関する法律」(以下、「児童虐待防止法」)が挙げられる。この法律により、虐待の禁止・行政の責務・通告義務・児童の保護のための措置等が明文化された。
続いて平成16年には児童虐待防止法の改正が行われた。ここでは、同居人による虐待への対応もカバーし、また配偶者へのDVを児童に対する心理的虐待と看做すこと、通告義務の拡大、立ち入り調...