強盗罪
XとYは、当初、Aを殺害して覚せい剤を強取することを共謀したが、その後、計画を変更して、まずYが、覚せい剤密売のあっせんを装って、Aをホテルの一室に呼び出し、買い主と相談するために必要であると偽ってAから覚せい剤を受け取り、これを持って逃走した。その後、Xは、ただちにAがいる部屋に入り、至近距離からAめがけてけん銃で弾丸5発を発射したが、Aが防弾チョッキを着ていたので、重傷を負わせるにとどまった。Xの罪責を論ぜよ。
本問における問題の所在は、XがYと共謀し、YがAから覚せい剤を奪ったのち、XがAを殺害するといった計画に沿い、Xが計画通りにAを殺害しようとしたが、重傷を負わせるにとどまってしまったという点において、Xの行為をYと共同して事後強盗を行ったという承継的共同正犯として、強盗殺人未遂罪とできるかという点である。
承継的共同正犯とは、先行者が実行行為の一部を行ったが、既遂に達する前に後行者との意思連絡が生じ、事後の行為を共同して犯罪を実現する場合である。窃盗を行ったことは事後強盗における実行行為に着手した時点から開始されると解されるが、事後強盗の目的をもって窃盗に着手し...