古代や中世から商人は活動していたがその当時はただ商品を販売していただけだった。中世後期になると、商業資本の役割が大きくなり商業資本が産業を支配し組織したという点で、従来の商人とは違った意味を持ってきた。そして、産業を支配し組織した商人は、問屋制手工業と呼ばれた。
問屋制手工業は12世紀から目立ち始め、15世紀に盛んになった生産組織の方法である。商人か職人に対して原材料を貸し与え、職人はそれを自宅で加工することによって賃金をもらう。ギルドの手工業者とはちがって、全工程の仕事はしない。ある分業の仕事だけをする。商人はこの工程をいくつかに分割をして、第一工程の職人の家から第二工程の職人の家へと商品を移して、最終的な完成品までにもっていくと、これを商人の倉庫に保管し、市場に販売して利益をあげる。マニュファクチュアが一つの工場の中で行った分業を、それぞれの職人の家でおこなわせ、最終的に商人がそれをまとめる役割をもった。
商人あるいは問屋が一種の資本家となり、職人は賃金をもらうだけの一種の労働者になった。ギルドの親方がこのような立場の職人にはならないが、従来奉公を終わりながら親方になれなかっ...