刑事弁護制度がなぜ必要かというと、捜査機関から嫌疑をかけられ、捜査の対象とされ、訴追を受ける被疑者・被告人は、自分自身の力だけでは十分な防禦活動を行うことはできない。被疑者・被告人が一人で、法律の専門家であり国家機関である検察官と対等に渡り合い、自分の権利を守ることは不可能であるため、信頼できる法律の専門家が、被疑者・被告人の防禦活動を援助し、権利を擁護する必要があるからである。
弁護人は、被告人の法的保護者となるが、被告人も被疑者もいつでも弁護人を選任することができる。このような弁護人選任権を実質化するために、法は被疑者の逮捕・勾留時、控訴提起時に弁護人選任権を告げることを要求している。また、身柄拘束をうけた被疑者・被告人が具体的に弁護人の選任を申し出たときは、その申し出を必ず伝達しなければらなない。
このようにして、被疑者・被告人がみずから弁護人を選任する場合を私選弁護というが、貧困等の理由で私選弁護人に依頼できないときは、請求により国が弁と任を付する。これを国選弁護という。未成年や70歳以上の老齢など一定の理由で国選弁護人を必要とするものについては、請求がなくとも裁判所の職...