史記の概要と司馬遷の史記執筆にあたっての思いについて。
第一章 史記の概要
『史記』は前漢武帝の時代に、司馬遷によって書かれた歴史書であり、黄帝から武帝までのことが紀伝体で記されている。
一 司馬遷について
司馬遷は、武帝に太史令として仕えていた司馬談の子として生まれた。太史令は国家の文書に関する仕事や歴史に関する仕事を行う役職である。後に司馬遷も太使令に任ぜられ、その職権上、漢室の記録・文章・図書を閲覧利用することが出来たので、『史記』のような歴史書を書くことが出来たといわれている。
二 史記の内容と特徴
(一) 史記の構成
『史記』は本紀十二巻・表十巻・書八巻・世家三十巻・列伝七十巻の計百三十巻からなる。本紀は帝王の記録王朝や君主の事績を編年的に記した年代記であり、表は年表で、封建諸侯の系図と封邑とを組み合わせたものである。書は特定の事柄を理論的、歴史的に記述したものである。世家は封建諸侯の国別の歴史記録であり、列伝は著名な個人の伝記である 。
紀伝体
『史記』は紀伝体で記されている。紀伝体とは、史書を構成する部門として、本紀と列伝を重視し、この二部門を必ず備える史書の形体である ...