『精神障害者の雇用の重要性とその課題』
障害者雇用が目指すことは、「障害者の自立と社会参加」であり、ノーマライゼーションの理念に基づけば、障害の有無に関わらず、障害者と健常者が互いに支え合い、地域で生き生きと暮らしていける社会をつくることである。ここでの「自立と社会参加」という言葉が示す意味は、援助を受けながらも精神的に自立した、その人なりの生活を送ることである。それを考慮したとき、自身が周囲から認められ、評価される環境を求めることは人間一般に共通する願いであり、就労という行為はそれを満たすものであるはずだ。それゆえに、精神障害者を含む障害者に、就労を含む社会進出の機会を与えないことには、本当の意味での自立と社会参加を叶える生活は送れないと思う。さらに、平成十八年に施行された障害者自立支援法により、「応益負担」が実施された。その内容は、障害者福祉サービスのうち住宅および入所の場合に、サービス費の一割を利用者が負担し、通所および入所施設の場合にはこれに加えて食費、光熱水費や日常生活費などを自己負担とするものだ。この法律で、本人の自立生活は本人の所得で考えられるのが常識とされたのである。...