小児に多い呼吸器系疾患について述べていくのであるが、その多くは「かぜ」と一般的に呼ばれているものである。「かぜ」とは「かぜ症候群」の略称であり、ほとんどがウイルス病原で起こる急性気道感染症である。病原としては約200種類が知られている。小児では罹りやすい季節はあるものの一年中休みなく「かぜ」に罹ってしまう。しかし病原体をみると夏の「かぜ」、秋冬の「かぜ」、一年中かかる「かぜ」に分けられる。秋から冬に流行する「かぜ」は気温の低下や乾燥によって活発になるウイルス(インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、RSウイルスなど)によって起こり、主として呼吸器を侵す。一方、夏に流行する「かぜ」は高温、多湿の状態で元気になるウイルス(ポリオウイルス、エコーウイルス、コクサッキーウイルスなど)によって起き、主として消化器を侵す。一年中流行する「かぜ」はウイルスが空気中の水分をあまり気にしないウイルス(あでのウイルスなど)によって起きる。
一般的に気道感染を起こすと気管支炎になり、さらに進行して肺炎になる。肺炎球菌によるものは気管支炎になりやすい。ウイルス(インフルエンザウイルス、パライン...