ヨーロッパ中世の政治思想的展開における「普遍」と「特殊」の考察

閲覧数4,061
ダウンロード数37
履歴確認

    • ページ数 : 7ページ
    • 会員1,100円 | 非会員1,320円

    資料紹介

    『ヨーロッパ中世の政治思想的展開における「普遍」と「特殊」の考察』

    はじめに

    政治思想の視座において、国家という概念がなかった9世紀から15世紀までの中世ヨーロッパという時代は、キリスト教という普遍性を志向する宗教を軸に普遍的な権力・権威の確立にともなう「普遍」と、封建王制という「特殊」の発生・融合した時代である。帝権と教権という2つの普遍的権力・権威が相互補助的に役割を果たし固有の文明社会を成立させていた。

    11世紀には、この皇権と教権の関係が本質的な対立に向かい、中世社会の秩序が根本的な変革に直面することとなった。そこにグレゴリウス改革として知られる一連の教会改革が進むのである。結果的には教権は、帝権に対して一定の自立を勝ち得たが、同時に人々の日常生活への関与を強めることにより、人々の精神支配において圧倒的な影響力を持つようになった。後に帝権が著しく影響力を弱めると、教権は全盛の時代を迎えることになる。一方で、大学における教会法学者などの教会改革を通じて高められたキリスト教倫理思想は、民衆に運動を生み出す原因ともなっていった。また14世紀に入ると、教権は国家単位での充実を果たした封

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    『ヨーロッパ中世の政治思想的展開における「普遍」と「特殊」の考察』
    はじめに

    政治思想の視座において、国家という概念がなかった9世紀から15世紀までの中世ヨーロッパという時代は、キリスト教という普遍性を志向する宗教を軸に普遍的な権力・権威の確立にともなう「普遍」と、封建王制という「特殊」の発生・融合した時代である。帝権と教権という2つの普遍的権力・権威が相互補助的に役割を果たし固有の文明社会を成立させていた。

    11世紀には、この皇権と教権の関係が本質的な対立に向かい、中世社会の秩序が根本的な変革に直面することとなった。そこにグレゴリウス改革として知られる一連の教会改革が進むのである。結果的には教権は、皇権に対して一定の自立を勝ち得たが、同時に人々の日常生活への関与を強めることにより、人々の精神支配において圧倒的な影響力を持つようになった。後に皇権が著しく影響力を弱めると、教権は全盛の時代を迎えることになる。一方で、大学における教会法学者などの教会改革を通じて高められたキリスト教倫理思想は、民衆に運動を生み出す原因ともなっていった。また14世紀に入ると、教権は国家単位での充実を果たし...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。