4単位目
1、向社会的行動とその発達にかかわる要因について述べなさい。
向社会的行動とは、親切行動、援助行動、奉仕活動など、外的な報酬を期待することなく、他の人や集団のためになることをしようとする行動である。今日、生徒の孤立化、いじめ、不登校、都市生活における近隣関係の欠如や摩擦、障害者への支援・福祉などが大きな社会問題となっており、このような状況のなかで、向社会的行動の発達への理解は大きな役割を果たすと考えられる。
向社会的行動の発現には、基本的には、気づき、意思決定、実行の3つの段階がある。つまり、他者の要求や気持ちをみきわめ、自分のすべき行動を判断して、実行するという流れである。そして、気づきと意思決定の間に媒介過程があり、向社会的判断、共感、役割取得という3種類の媒介要因が関与している。向社会的判断は、どのように行動したらよいかの決定であり、共感性、役割取得は向社会的行動の動機として機能する。これら3つの媒介要因は、発達的に変化し、自発的な向社会的行動の発現に大きな影響を及ぼしている。
向社会的行動は、子どもの認知的発達に応じて周囲の大人や友達などの相互作用を通して発達し...