労働法1(団体法)(B16A)(2011年度)
Y会社従業員をもって組織されるX労働組合は、2008年春闘において、組合員の士気を高揚すべく、各従業員が会社からその使用が許されている休憩室兼更衣室ロッカーに、「春闘勝利!」等と印刷されたステッカー(横20センチ、縦50センチの縦長のビラ)各1枚を貼付すべきことを指令した。これに対し、Y会社は、ステッカーの撤去を命じたが、組合員らがこれに従わないままの状態が続いたので、上記命令を発した組合3役を、譴責の懲戒処分に処した。この懲戒処分の効力如何。
本題を解するうえでは、労働者の人権でもある憲法28条の団結権を遂行すべき行為ともなる組合活動の権利行使と、使用者の施設管理権への侵害や企業秩序・職場規律違反、との衝突をどう調整すればよいかが問題となり、これには「組合活動の正当性判断」の法的枠組みの捉え方が重要となる。
判例によると(最高裁昭和54年10月30日)使用者は事業の円滑な運営を図るため企業秩序を定立し、使用者が有する権利の濫用であるとの特段の事情を除いては、使用者の職場環境についての規律ある業務運営態勢を確保すべきとの考え方から、本...