理科指導法 第1分冊

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1.帰納的思考と演繹的思考
 帰納的思考とは、事実の観察から法則の陳述へと進む思考過程である。できるだけ多くのデータを集め、それらの共通点に着目し、結論を導きだすものである。
 演繹的思考とは逆に、前提としてある法則から、順序立てた仮定によって最終結論を導き出す方法である。
 純粋に帰納によって見出されたと思われた法則でさえ、「事実」の集積によってそこから直接に導かれたものとは言いがたい。なぜならば、事実だけでは問題は発生せず、すなわち事実だけでは思考の働きは生じない。疑問を持ち、仮説を立てることが出発点であり、その仮説からの演繹を経てはじめて個々の事実の確かめが意味をもってくるのである。問題意識をもたなければ、事実は事実であるだけで、思考と結びつけられることがないままである。
 このように見てくると、あらゆる思考は演繹過程に基礎付けられていると考えることができる。実際、科学的思考には、実験と観察と演繹だけが必要であり、純粋な帰納はほとんど使う余地がないとも考えられる。
 
2.「事実からきまりを見つける」学習
 では次に、小学校理科で指導する「事実か..

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08805 理科指導法 第1分冊
1.帰納的思考と演繹的思考
 帰納的思考とは、事実の観察から法則の陳述へと進む思考過程である。できるだけ多くのデータを集め、それらの共通点に着目し、結論を導きだすものである。
 演繹的思考とは逆に、前提としてある法則から、順序立てた仮定によって最終結論を導き出す方法である。
 純粋に帰納によって見出されたと思われた法則でさえ、「事実」の集積によってそこから直接に導かれたものとは言いがたい。なぜならば、事実だけでは問題は発生せず、すなわち事実だけでは思考の働きは生じない。疑問を持ち、仮説を立てることが出発点であり、その仮説からの演繹を経てはじめて個々の事実の確かめが意味をもってくるのである。問題意識をもたなければ、事実は事実であるだけで、思考と結びつけられることがないままである。
 このように見てくると、あらゆる思考は演繹過程に基礎付けられていると考えることができる。実際、科学的思考には、実験と観察と演繹だけが必要であり、純粋な帰納はほとんど使う余地がないとも考えられる。
 
2.「事実からきまりを見つける」学習
 では次に、小学校理科で指導する「事実か...

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