本レポートでは、日本における近代以前の学校制度と現在の学校制度のいくつかの違いに注目し比較しながら、これからの学校制度の在り方についても考えていく。
まず近代以前(江戸時代)と現在の学校制度の違いは学校系統において顕著にみられる。この時代は主に藩が主導として行われる藩校と、民間主導で開かれた寺子屋の二つの学校が存在していた。藩校は武士の子弟を意図的・組織的に教育するため設置・経営された学校であり、武士が武士であるための、いわゆるエリート学校系統であった。
07804 学校制度と社会 第1分冊
本レポートでは、日本における近代以前の学校制度と現在の学校制度のいくつかの違いに注目し比較しながら、これからの学校制度の在り方についても考えていく。
まず近代以前(江戸時代)と現在の学校制度の違いは学校系統において顕著にみられる。この時代は主に藩が主導として行われる藩校と、民間主導で開かれた寺子屋の二つの学校が存在していた。藩校は武士の子弟を意図的・組織的に教育するため設置・経営された学校であり、武士が武士であるための、いわゆるエリート学校系統であった。それに対して、庶民の子どもはそれぞれの家庭で日常的行儀作法や地域社会のルールを教えられ、また家の手伝いをしながら家職を継ぐための知識や技術を身につけていた。しかし貨幣経済の発展にともなう商人の台頭から、子どもを幼時から師匠につけ、読み・書き・算の基礎教育を施したのである。このような基礎教育への要求に応じ、必然的なものとして庶民教育機関が生まれた。これが寺子屋である。
幕末には藩士子弟のみに限定していた入学資格が足軽や庶民にまで広げる藩校が増加したが、武士による支配構造は前提にあり、根本的に教育...