日本の英語教育の過程と日本政府の小学校英語導入に対する動き
明治中期までの英語教育
日本の英語教育が開始されたのは明治時代までさかのぼる。明治初期は西洋文化・知識を吸収するため、実学中心のものであった。大学でも原書を教科書として使用し、お雇い外国人により英語の授業が行われていた。この頃から英語の優位性はすでに始まっており、1873年からは開成学校(後の東京大学)で専門科目の教授言語が英語と定められた。実学としての英語の重要性を説く声は初等・中等教育レベルでの英語教育にも影響を与えたようだ。下記の文章は、伊藤博文内閣のもとで文部大臣を務めた森有礼が自ら英文で示した”Education in Japan”の序文の日本語訳である。どのように実学英語の重要性を説いていたのか参照するためにここに引用させてもらう。
…現代文明の日本への進展はすでに国民の心の奥まで達している。そして、それに伴って普及してきた英語は、日本語と中国語の使用を抑制するものとなっている。今や世界を支配している英語を話す民族の商業力は、我々をしてかれらの商業の方法を習慣についてある程度の知識の獲得へと駆り立てている。それゆ...