風の谷のナウシカから見る環境問題
本稿は、以下の目次からなっている。「はじめに 1 ナウシカたちの住む世界と私たちの住む世界 2 「腐海」と「蟲」 3 風の谷の伝承から おわりに」。題目のとおり、アニメーション映画「風の谷のナウシカ」に主眼を置き、環境問題について論じていこうと思う。
はじめに
「風の谷のナウシカ」は1984年に徳間書店と博愛堂の共同制作によりアニメ映画化
され、数々の映画賞を受賞。アニメーション作家としての宮崎駿の知名度を大きく上げた作品である。自然と科学技術との対立、文明の再生と破壊はいくつかの宮崎作品に通底する主題であるが、本作品はそれらを直接とりあげたものの一つである(1)。本稿ではこの作品の主題の一つである環境問題について、「風の谷のナウシカ」を参考にしながら考えてみたいと思う(この作品は世界野生生物基金(WWF)推薦作品でもある)。なお、この作品には原作の漫画があるが、アニメーション映画との相違点が多いため、本稿では原作には触れず、映画版「風の谷のナウシカ」のみに主眼を置きたいと思う...