『わが国で自然災害が発生した地域をひとつ選び、過去の自然災害と被害について述べ、その発生原因とその対策を地図を示して考察せよ』
本論では、設題に沿って、1995年(平成7年)1月17日に兵庫県南部を中心に発生した阪神・淡路大震災について述べる。この災害を選んだ理由は、6000人以上もの人命を失うなどの甚大な被害をもたらしたこともあるが、何よりも現在自らが居住する地域であり、その実態を把握しておく必要があると考えたからである。
歴史上、兵庫県域の直下で発生した大地震に、868年(貞観10年)に播磨の山崎断層地帯で発生した播磨国大地震がある。この地震以来1200年以上にわたり、兵庫県の直下を震源にした地震は発生していなかった。しかし、図1・2をみてわかるように、日本の大都市の中で神戸市ほど活断層の密度が高い都市は珍しく、神戸の六甲付近を震源とする直下型大地震の発生は多くの研究者によって予告されていた。
阪神・淡路大震災は、図3で示されているように、兵庫県の直下にある3つの断層が連続して動いたことによって発生した。地震の規模を示すマグニチュードは7.3であり、淡路島や阪神間を中心に...