証券市場論 分冊2
証券投資の進展について述べなさい。
ポートフォリオ理論は、誕生地の米国では1960年代から70年代にかけて実用化される様になった。同時期に既に日本にもこうした理論が紹介されたが、実務界では十分な理解が示されないままであった。理由は様々あるが、やはり米国と日本の有価証券投資を取り囲む環境の差が一番だった様に思われる。
ところが、1980年代半ばに入って、日本でもポートフォリオ理論が急速に普及し始めた。この背景には1983年11月に「日本円・ドル委員会」の位置に端を発した日本の金融・資本市場の自由化による金融市場の大変貌があった。その様な動きの中でようやく有価証券投資方法にも新しい手法が求められる様になってきたからである。
1990年度のノーベル経済学賞は、1950年代にポートフォリオ理論でのパイオニア・マーコヴィツ博士が受賞した。
同氏の理論の特徴は、有価証券投資からの期待収益(リターン)についてリスクの概念を導入した事である。有価証券投資においてリターンを期待するならば必ずリスクが存在するから、最もリスクの少ない有価証券を選択した集合体の中から最適なポートフ...