第2課題「私人間における基本権の効力について、判例の立場を紹介し、これを論評せよ。」
近代立憲主義での憲法上の基本権規定は、私人対公人(国家)を想定して作られている。本テーマである「私人間における基本権の効力」では、憲法が私人間に適用されるか(どのような統制力を持つか)、ということが問題とされていると解することができる。
本来、私人間の関係、すなわち私的自治の原則から考えれば国家は介入しない。しかし、経済の強大化により、大企業をはじめとする組織・団体(私人)の強大な力によって、国民(私人)が蹂躙されることがある。私的自治では私法を適用する原則はあるが、これを救うために憲法を適用することの可否を問うことが必要なのである。
私人間における基本権の効力論においては3説ある。それぞれについて見てみたい。
無適用説:近代立憲主義を強調している説。その成り立ちを重視し、憲法の守備範囲を明確にする必要性があるとし、憲法の基本権規定は私人間の問題には適用されない、としている。しかし、私人による基本権侵害の放置につながるおそれがある、と批判できる。
直接適用説:人権の普遍性、最高法規性を強調している...