民法4(債権各論)(B07A)
いわゆる双務契約における牽連関係は、民法の規定・解釈上のどのような制度を通じて現れるか。双務契約における牽連関係を体現する制度の要件・効果を説明せよ。
双務契約とは、契約当事者間に対価的な意義を有する債務が生ずる契約をいい、例えば、土地の売買契約においては、売主は買主に土地に引渡しと移転登記の債務を負い、買主は売主に対して代金支払い義務を負う。この当事者双方の債務が対価的な依存関係にあるため、一方の債務と他方の債務との関係が問題となり、この関係のことを牽連性という。双務契約における牽連性は以下の3つの場面で問題となる。
2.まず、①成立上の牽連性である。これは、一方の債務が成立しない場合には、他方の債務も成立しない。民法上規定はないが、双務契約の性質上当然のこととされている。
例えば、ある名画の売買契約がなされた場合において、目的物の絵は契約の前日に保管中の倉庫の火災で焼失していたとする。この場合、売主の債務(絵画の引渡し義務)は、契約成立時点ですでに実現が不可能である。このような場合を原始的不能という。不可能な契約を強いることはできないから、債務者...