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貸借対照表能力とは、いかなる性質を有する項目が貸借対照表に計上されるのか、つまり貸借対照表に計上すべき項目の用件に関する問題である。言い換えれば、それは、貸借対照表上の資産化あるいは負債化しうる項目の範囲を決定する事柄といってよい。
この問題を考えるうえできわめて重要なのが、貸借対照表をどのようにとらえるかである。これは、すなわち貸借対照表の見方ないし貸借対照表の目的である。これについては、次の2つの見方が対立する。貸借対照表について、ある種の状態表示機能を強調するのが静態論とよばれる会計思考である。これに対して、貸借対照表の利益計算的側面を重視するのが動態論とよばれる会計思考である。
静態論のなかには、企業の解散を前提とし、解散時に返却されねばならない負債と、それの填補手段として役立つ換金価値を有する資産だけとが貸借対照表能力をもつという考え方が、かつて存在していた。この考え方はたしかに完全に否定されているが、これだけが静態論のすべてではない。企業の継続を前提とした財産表示の観点から、貸借対照表能力を問題とする静態論もある。たとえば、そこでは換金価値がなくと...